のったね
「全部ポロにのるかしら?」
「のるさっ」
我が家から出た、たくさんの大きなゴミ。燃やせないもの、普通じゃ持っていってもらえないもの。戸吹の処理施設まで、粗大ゴミを運ぶ。ポロちゃんの後席をたたんで、何年もぼくたちの生活を支えてくれた道具、古くなって壊れちゃったのや、もうなんども繕って、ボロボロになっちゃったマットレスや、そんなものを積みこむ。数週間前までは、一度だって頭をよぎることがなかったけれど、また別の新しい街へ移ることになった。もう何度目の引っ越しなんだろう。
「全部、のったね」
「のった」
小さなポロに載らないほど大きなものを、ぼくたちは、持たないようにしようね。出来るだけ少ない持ち物で暮らす。たくさん所有しない方が歩きやすい。古代のヘブルびと。老人モーセに率いられれ、エジプトを出た。密と乳の流れるカナンの土地。ヤーウェなる神が約束された場所、契約の街を目指して。出エジプト、それは、突然のことだったから、彼らは着の身着のまま、最小限の持ち物で、住み慣れた場所を出るしかなかった。昼は雲の柱が彼らを導き、夜は炎の柱が、先頭を進んだ。旅の道中、神は、マナとうずらで彼らを養ってくださった。不思議な方法で、彼らに必要なものの一切を、神様は満たして下さった。ぼくたちも、同じ神様、聖書の神様を信じて生きてゆく。だから、小さくても、少なくてもだいじょうぶ。必要は、満たされる。
「なんだかここを出て行くの、ちょっと信じられないね」
「そうだね、でも、どこへ行っても、ずっと一緒だ、何も変わらない」
「うんっ」
今日も静かな一日だった。いつもと変わらないけれど、すばらしい恵みに満ちあふれた一日だった。明日も、こうやって歩いていこう。ポロの助手席で、しずかに微笑んでいる妻が愛おしい。ポロも一緒に、歩いていこう。
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